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2008/6/2


三鈷の松 Sankono-matsu 

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 和歌山県の高野山に建つ御影堂(みえどう)の前には一本の松がある。松は通常、二葉か五葉だが、まれに三葉の松が存在する。
 それが三鈷の松(さんこのまつ)であり、密教の法具の一つである三鈷杵(さんこしょ)に似ているところからその名がついた。
 その昔、唐で修行した弘法大師が帰国の際、一本のホウキを授けられた。するとそのホウキの間から金色に光る三鈷杵が出てきた。大師は密教の修行にふさわしい場所はどこかを占うため、その黄金の三鈷杵を日本に向かって投げた。
 帰国後、大師は三鈷杵を全国に探し歩き、光り輝く松の木にかかっているのを発見したのが現在の高野山上であったといわれ、真言密教の聖地をこの地に開山した。
 時に大同元(806)年とされる、御影堂前の三鈷の松にまつわる伝説である。
 以来、その松は三葉の松であったことから「三鈷の松」として祀られるようになったのだという。
 現在では参詣に訪れた人々が、縁起物として三葉の落ち葉を持ち帰り、お守り代わりとして大切にされている。
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2007/8/17


大里松原 Oozato-matsubara Ozato Pine Groves

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 大里松原(おおざとまつばら)は、徳島県海部郡海南町にある、弓状に四kmも広がる白浜青松百選の海岸である。
 延々と続く松林は、ざっと五万本が植わっている。海岸線に沿って美しい曲線を描く松原は、観賞用だけではなく潮害防備保安林、保健保安林でもあり、荒れる海から隣接する民家を守っている。
 松原の歴史は、江戸中期ごろにさかのぼる。当時の木はほとんどないと言うが、今でも地元の住民らが、年に三回の害虫防除と二回の下草刈りを欠かさない。
 この浜に立ち、潮風に吹かれ、波の音に身をゆだねれば、それだけで心が洗われていくようである。絶好の磯釣りポイントでもあり、海部川河口の波はサーフポイントとしても有名である。
 大里海岸はアカウミガメの産卵地でもあり、産卵の始まる初夏の満月の夜には観光客も訪れる。
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2007/8/7


広隆寺 弥勒菩薩半跏像 Kouryu-ji-Miroku-bosatsu-hanka-zou Miroku Bosatsu Hankashi-yui-zou Statue at Koryuji Temple

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 弥勒菩薩(みろくぼさつ)は、やがて仏となり、未来の世に現れ衆生を導き救うとされ、未来仏として信仰されている菩薩様である。
 弥勒菩薩の中でも最も有名なのが、京都府京都市太秦の広隆寺霊宝殿に安置されている弥勒菩薩半跏像(みろくぼさつはんかぞう)である。右手の薬指を頬にそっとあて、物思いにふける姿でよく知られている。
 赤松で作られた像の表面には、金箔が光り輝いていたといわれているが、その制作地については、原材料や作風等から中国からの渡来像であるとする説と、日本で制作されたとする説があり、今なお決着を見ていないという。
 微笑んだ面差しと、頬にあてられたたおやかな指が繊細で官能的。全体的に丸みを帯びた美しい曲線が、女性的な印象を与える仏像である。涼しげな目元が中国伝来説を裏付けるかのようにも見える。
 この弥勒菩薩半跏像のたたえる微笑みは、通称「アルカイックスマイル」と呼ばれ、親しまれている。
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2007/7/23


びふか松山湿原 Bifuka-matsuyama-shitsugen Bifuka-Matsuyama Moor

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 北海道中川郡美深町。その町を見下ろす松山山頂にあるのがびふか松山湿原だ。
 標高797mにあるその湿原は、日本最北の高層湿原としても知られている。
 湿原面積はおよそ25ヘクタール。大小3つの沼が点在しており、それぞれにヒメマスの放流が行われている。
 山頂には、風雪にさらされ矮性化したアカエゾマツやハイマツなどの高山植物が分布するといった特異性があり、学術的にも重要であることから、昭和五一(1976)年には、北海道自然環境保全地域に指定されている。
 自然が色濃く残された湿原には、一周1kmほどの散策路も設けられ、四季折々に花を咲かせるタチギボウシやホロムイリンドウなどの豊富な高山植物を愛でながら、大自然の息吹を思う存分味わうことができる。
 青い空と緑の大地の境目に、矮性化したために奇妙な枝振りをしたエゾマツやハイマツがポツリと頭を出す。
 厳しい自然だけが生み出す風景が、そこには広がっている。
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2007/5/31


安楽寺八角三重塔(国宝) Anraku-ji Hakkakusanjuu-no-toh Anrakuji Temple Pagoda

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 信州上田、夫神岳(おがみだけ)の山道を覆う松林の中に、その塔はある。
 この地にある安楽寺は、平安時代初頭に創立されたといわれるが、鎌倉時代以前の歴史ははっきりとしない。その中でも、この塔はもっとも古いものである。現存する八角塔としては唯一のもので、かつ禅宗様の三重塔としても大変稀有なものとされる。
 全高18.75m、その印象的な八角の屋根の内には、詰組(つめぐみ)や扇垂木(おおぎたるき)など、細部にいたるまで禅宗様の建築様式が見られ、仏壇までもが八角の形で造られている。にもかかわらず、禅宗では珍しい大日如来像が安置されており、その点でも注目に値する。
 全体が四重塔に見えるが、一番下の屋根は一層の裳層(もこし)とよばれる庇である。
 1947年、長野県内の建造物としては初めて、松本城とともに国宝指定された。
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2007/2/15


笹岡家住宅 Sasaoka-ke-jyuutaku Sasaoka House

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 笹岡家住宅は奈良県宇陀市に存在する古民家である。
 江戸時代から近隣9か村の大庄屋を勤めた郷士、笹岡家の住宅を保存したもの。
 寛永年間(1624〜44)の建築。五代目当主五兵衛が力比べで優勝し、藩主から拝領した松の木を使ったと言われ、軒桁の松は当時のものである。
 萱葺きの入母屋造り、白壁の重厚な作りは当時の面影を今に伝える。
 広い庭園は手入れが行き届き、三椏や山桜が茂り春先には庭先を飾る。
 国の重要文化財に指定されているが、現在も二十四代目の笹岡家が生活をしており住居の管理を行なっている。
 見学は可能だが、事前に予約を行なう必要があるので注意が必要。
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2007/1/26


鶴ヶ原の景 Tsurugahara-no-kei The Scenery of Tsurugahara

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 鶴ヶ原の景とは、大分県玖珠郡玖珠町にある景勝地である。
 奇岩群に囲まれた広い池地で、かつて森藩主の別邸があったといわれる。昔から水景色の有名なところであった。
 池を取り囲むように立つ耶馬溪溶結凝灰岩の岩石は風化が進み、大きな柱状節理の角がとれ、丸みを帯びた石柱や岩峰が林立する景趣は雄大である。湖畔のアカマツとともに静かな池面に写り込むその様子は、まさに美観といえる。
 松やつつじが生育する中島が静寂な池に変化を与え、まるで日本庭園を見ているようである。
 また、周囲の石仏には番号がふられ、十三仏も八十八ヶ所そのものにつくってある。場所によっては風化が激しく、ひとつひとつ見てもあきることがない。
 鶴ヶ原の景は、春は新緑、秋は紅葉、冬は雪と、四季折々の表情を魅せてくれる名勝地である。
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2007/1/16


蔵王 樹氷 Zaou Jyuhyou Zao Ice Trees

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 山形県山形市蔵王温泉で冬の季節に見られる樹氷。
 奥羽山脈のなだらかな丘一面は真っ白なキャンパスになり、スキー客が滑り降りるわずかなゲレンデのすきまを残し、周囲は人の倍ほどの高さがある、「えびのしっぽ」をいくつも並べ立てたような「樹氷」で覆い尽くされる。
 樹氷は世界中、日本のこの山脈一帯にしか見られない。
 樹氷ができるのには、いくつかの「気象条件」が必要とされる。
 松などの常緑の針葉樹が存在する場所、雲粒が、枝や葉にぶつかって凍っていく「着氷」と呼ばれる段階で、季節風が常に強風と低温で、一定方向から運ばれてくること、積雪が多すぎず、少なすぎないなどの条件である。
 1月下旬から2月下旬にかけて、夜間にライトアップされた姿は、幻想的である。
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