つつこ引き祭は、福島県伊達市保原町にて行われる祭りである。
　今から約２８０年前、享保の大飢饉では種もみまで食べ尽くしてしまうほど庶民は飢え、領民達は悲惨な日々に明け暮れていた。これを見た領主の松平出雲守道春は領民の苦しみを憂い、神のお告げにより、種もみを分け与えた。
　翌年は大豊作となり、喜びに沸いた領民は神のご加護と領主の善政をたたえ、神前に初穂を供え豊作を祝った。それ以来五穀豊穣を祈る厳島神社の神事として、つつこ引きの祭りが行われるようになったという話である。
　つつこ引き祭は、ふかしたもち米を直径１．５ｍ、長さ３ｍ、重さ数百ｋｇのつつこの中に入れ、下帯姿の若衆が３方部に分かれて激しく引き合う。
　裸の男達がつつこを引き合う勇壮な姿は、福島県１０大奇祭にも選ばれている珍しいものである。