NIPPON Kichi - 日本吉

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2008/2/21


江戸紫色(エドムラサキイロ) Edomurasaki-iro 

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 紫草(むらさき)は太い根に紫色の色素を持つ、ムラサキ科の多年草で、植物の名前がそのまま染色名に使われたとされている。
 約三〇〇年前、武蔵野でも紫草を栽培しようと、多摩郡松庵の杉田仙蔵(すぎたせんぞう)という豪農が、南部にて紫草の栽培や染色法を習得、栽培に成功した。その後井の頭池の水を遣い、鮮やかな紫根染め(しこんぞめ)を完成させた。それは後に「京染め」に対し「江戸染め」と呼ばれることとなる。
 古来より日本人に好まれ様々なものに使われてきた紫色だが、色調が地域によって分かれ、それを区別するために、京紫と江戸紫とに区別されるようになったといわれている。江戸紫色は、京紫色に比べて青みの強。
 江戸紫色は派手好みの江戸っ子に特に好まれ、爆発的に流行をとげ、江戸の「粋」の代表的な色として一世を風靡したと伝えられている。この人気により、近在の農家では栽培が盛んになり、三鷹・吉祥寺等の武蔵野一帯は紫草の名産地であったという。
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2008/1/17


葛(クズ) Kuzu 

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 マメ科に属する葛(くず)は、秋の七草のひとつで、蔓(つる)性の多年草である。
 成長力が非常にあり、節々から根を出し、地中深く根付く。蔓もまた成長が早く、木を覆い尽くすように伸びるため、中国奥地では緑化のために植えられたこともある。
 大きな葉を持ち、夏に咲く赤紫色の小さい花は甘い香りがするのが特徴である。
 葛きりや葛湯などに使う葛粉は太い根からとれる澱粉から作られる。中でも吉野で採られ何度も晒された吉野葛は葛粉の代名詞となっている。また、風邪に効く漢方薬もまた、葛の根を干したものを原料としている。
 長い蔓は籠などの生活用品に利用され、またその繊維は温かみのある葛布として生まれ変わるなど、日本では生活に役立つ植物として親しまれている。 
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2008/1/15


桔梗(キキョウ) Kikyou 

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 「桔梗(キキョウ)」は、キキョウ科キキョウ属の多年草で、秋の七草に数えられる。日本全国をはじめ朝鮮半島、中国など、一種類が分布している。
 丈は50~100センチメートルで、山野の草地など日本全国で見かけられ、日当たりのよい場所に生育する。
 花は茎の先端につき、青紫の花びらは5つに分裂した広い鐘形で、初夏から秋にかけて星形をした可愛らしい花を咲かせる。
 最近の園芸品種では、草丈が低い鉢植えに適したものや、二重咲きのもの、花の色も青紫以外に白やピンクなどがみられる。また、つぼみが風船が膨らんだような形をしていることからバルーンフラワーという英名がある。
 桔梗の根は昔から薬草としても知られている。太い根茎は、水洗いをして細根を取り除き、乾燥させた物が漢方の桔梗根として使われ、また生薬としても有名で、咳や痰、気管支炎などに効能があるといわれている。
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2007/12/10


蓮着寺 Renchakuji 

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 蓮着寺(れんちゃくじ)は、静岡県伊東市富戸にある法華宗陣門流の霊跡別院である。山号は俎岩山(そがんざん)。
 弘長元(1261)年、法華宗の宗祖である日蓮は、鎌倉幕府への批判をとがめられて伊豆国伊東に流罪となった。これが「伊豆法難」である。
 この際、日蓮は烏崎の海上の俎岩(まないたいわ)に置き去りにされ、漁師に救われたという。以後一年九ヶ月にわたり、日蓮はこの地に留まった。
 永正五(1508)年、正乗院日云(にちうん)が日蓮の霊跡を探してこの地に至り、蓮着寺として開山した。
 境内には上人ゆかりの袈裟掛けの松の根株や、石が幹にくい込んだ石喰いのモチの木、県天然記念物に指定されているやまもも「やんもの木」などが存在する。
 蓮着寺は、日蓮の伊豆法難ゆかりの古寺である。
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2007/12/7


春国岱 Syunkuni-tai Shunkunitai

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 北海道東部の根室半島にある「春国岱(しゅんくにたい)」とは、海流に乗って堆積した砂が積もってできた小さな丘の名前で、オホーツク海と風蓮湖(ふうれんこ)を隔てている細長い砂州のことをいう。海に浮かぶ森のようにも見え、長さが8キロメートル、幅は1・3キロメートルもある広い砂州である。
 自然の風景をそのまま残している場所として、学術的にも知られている。砂の丘の中央には、国内で砂丘に自生する唯一のものとしてアカエゾマツの純林があり、またハマナスの群落が3キロメートルにわたって存在するなど、植物が豊かに成長する環境が整っている。
 海岸沿いは湿地となり、タンチョウの繁殖場所には絶好の場所となっており、また海の魚を捕るためオジロワシも生息している。
 生態としては決して安定した環境とはいえないが、厳しい環境ながら人の手がほとんど入らず、自然が豊かに残されていることが、恵まれた環境として成り立つ最大の理由であるといわれている。
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2007/11/16


【清】 Sei Clean, Pure, Clear

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 清は氵(さんずい)と青をあわせた字で、篆文(てんぶん)ではじめてみられます。文字学では部首は必ずしもいつも概念を示すものではないのですが、これは部首が示すとおり、 本来も水の清さをいいます。その意味の根本は「青」にあり、そしてこの色は漢字成立当時の美意識を表しています。青の下部の要素は丹で、丹(硫黄を含む土石で顔料となった)を掘るための井戸(丹井)のなかに丹があることを意味します。青色の丹もその井戸から採取されました。上部の要素は生であり青々と生えている草をあらわします。
 漢字を作り出したのは中国古代王朝の殷の聖職者ですが、その後の周と違って殷の民族は沿岸民族または沿海に近い地域の民族です。現代でも船乗りは入れ墨をすることがありますが、特に沿海の民族には入れ墨、文身などが多く、それは当時の宗教観を表現するものでした。
 青は「聖なる色」として儀式で清めのためにつかわれていました。青銅器という呪器の青も偶然ではありません。青と合わせて朱も呪鎮の意味をこめて使われました。文身や祭器に飾られた色には悪霊を払う呪禁の力が宿っているとされていました。漢字の世界は呪術の世界でもあるのです。
 フォン・ゲーテやショーペンハウアーなどの色彩論でもあきらかにされていますが、聖なる色としての青・朱は強く視覚にうったえることは確かです。中でも、青は特に穏やかな、鎮めと清めの効果のある、呪鎮に最もふさわしい色と考えられました。
 
■ 清・篆文(てんぶん)
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2007/11/8


因州和紙 Insyuu-washi 

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 因州和紙(いんしゅうわし)は、鳥取県東部地方で生産される和紙で、製品には画仙紙、書道半紙、襖紙などがある。昭和五〇(1975)年五月、通商産業大臣(現経済産業大臣)により伝統的工芸品に指定された。
 江戸時代前期から中期にかけて、藩が公務で使う御用紙を全て藩内でまかなうことを目的に作られたのが始まりとされている。明治時代に入ると、県の指導により和紙の原料となる三椏(みつまた)栽培に力が注がれるようになり、製紙工場数は江戸時代の約五百から千三百以上に増加した。昭和時代中期になると、手漉きの画仙紙、書道半紙や工芸紙の生産が軌道に乗り、因州和紙は更なる発展を遂げた。
 製法は、とろろ葵の根から作った液を紙料液に加えて簀桁(すげた)で汲み、揺り動かしながら繊維を絡め合わせ、何度も汲み上げることによって希望の厚さを求めてゆく。この工程には高度な技術と豊富な経験が必要で、名工と呼ばれる職人の漉いた紙は、百枚が百枚とも同じ重さで、厚さにも偏りがないという。
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東京無地染 Toukyou-mujizome 

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 東京無地染(とうきょうむじぞめ)は、古くから武蔵野国で生産されてきた染織物である。
 無地染とは、白い布地を一色の無地に染め上げる事で、古くは縄文時代から行われていた、染織物の中でも基本的なものだ。
 奈良時代になると、仏教の伝来と共に藍や紅花が渡来し、大きく発展を遂げ、鎌倉時代に入ると草木染や鉄媒染(てつばいせん)など技術も進展を遂げ、今につながっている。
 その中でも東京無地染は、武蔵野に自生した紫草の根から取れる染料を使用して染め上げたもののことを称し、江戸染めまたは江戸紫ともいわれていた。
 当時、上方きっての名歌舞伎役者であった市川団十郎演じる助六愛用の鉢巻ということもあり、庶民に大いにもてはやされることとなる。
 現在では東京都の伝統工芸品にも指定されており、古来よりの伝統を重んじながら、客の要望に沿って様々な色を生み出し、今も人々に愛される逸品を染め上げ続けている。
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