NIPPON Kichi - 日本吉

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2007/11/29


高千穂神楽面 Takachiho-kagura-men 

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 宮崎県の高千穂地方に伝わる岩戸神楽。その神楽で使われるのが「高千穂神楽面(たかちほかぐらめん)」である。
 高千穂地方は神々のふるさと、神々の里として全国に知れわたり、天岩戸地区は岩戸開きの伝説の地としても有名である。
 高千穂神楽面には、神楽舞用と装飾用があり、神楽舞用には軽い桐が、装飾用には香りのよい楠が使われる。鑿(のみ)で彫る一刀彫りでほとんどが手作業で仕上げられていく。
 特に難しいのは「生きた表情」を出すこと。職人の技によって作り出される繊細な表情は内外から高い評価を受けている。そのポイントの一つは木目をいかすことにあり、そのためには長年の経験と技術を要する。
 装飾用の面としては、手力雄命(たじからおのみこと)と天鈿女命(あめのうずめのみこと)が主に作られている。二人の神は開運招福の神として人気があり、最近では観光の土産として、また、縁起の良い贈答品として人気を集めている。
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2007/11/22


漆芸 Shitsu-gei 

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 漆芸(しつげい)とは、うるしを使用して作られた漆器や、それに装飾を加えたりした工芸品、及びその技術の事である。
 現在の漆の技法は中国から伝えられたとされるが、それ以前の、6000年も前の縄文遺跡から、漆を使った工芸品が出土している。
 漆技法は、主に4種類存在する。
 蒔絵(まきえ)は、蒔絵筆によって漆で模様を描き、その漆が乾かないうちに金粉や銀粉をまき、研ぎ出しや磨きを行う。
 沈金(ちんきん)は、沈金刀で漆の表面を線刻し、彫り跡に金箔や銀箔をすり込んで文様を作る。
 螺鈿(らでん)は、アワビや夜光貝の貝殻を薄く研磨した物を漆の表面にはめ込む。
 拭き漆(ふきうるし)は、顔料を加えていない漆を木地に塗ってはふき取る作業を何度も繰り返し、木目を鮮やかに見せる。
 漆芸は、日本独自の進化を遂げた伝統的工芸技術である。
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2007/10/31


紀州箪笥 Kisyuu-tansu 

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 和歌山県を代表する工芸品「紀州箪笥(きしゅうたんす)」は、全国的に有名な桐箪笥である。
 和歌山県各地の町家からは、古文書や桐箪笥が発見され、当時天保年間の頃からすでに武家以外でも、婚礼調度品として桐箪笥が作られていた記録が残されている。
 加工はすべて手仕事でおこなわれる。挽きや削り、継ぎなど匠たちの経験と勘が独自の道具により素材のよさを引き出している。
 美しい木目で知られる桐箪笥は、軽くて耐湿性に優れた家具で知られている。外気に敏感な性質のため湿気の多い時には水分を吸い、乾燥時には水分を出す恒湿性を持っている。もし火災などの場合、水を吸って燃えにくい事から「身を焼いても中身を救う」といわれている。また桐箪笥は伸縮しにくく狂いが少ない上、軽くて持ち運びが便利な事から、長年使用する収納家具として重宝されている。
 江戸時代に、紀州藩の積極的な振興政策によって桐箪笥の産地となって以来、桐材特有の上品な木肌は現在まで高度な技術や技法が受け継がれており、全国的に高い評価を受けている。
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2007/10/9


郷原漆器 Gouhara-shikki Gohara Lacquer Ware

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 郷原漆器(ごうはらしっき)は、岡山県真庭市蒜山(ひるぜん)に伝わる伝統工芸品である。県の重要無形民俗文化財に指定されている。
 明徳年間(1390~1400)に始まった言われ、最も大量に作られ技術が発達したのは江戸時代で、当時、山陰地方を中心に数多く出荷されていた。
 蒜山地方のクリ材を使い、木目を大切にしながら備中漆等の天然の漆が使用され、しっかりとした塗りと実用性、そして独特の優れた沈金技術で仕上げられている。
 特徴は、伝統に従い地元に育ったクリの木を輪切りにして、生木のままロクロで挽いて形を作り乾燥させる所で、この方法ならではの美しい木目を生かした普段使いの漆器として、現在でも広く愛用されている。
 郷原漆器は、天然の木地と漆を使った、木目の麗しい伝統工芸品である。
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2007/9/28


飛騨春慶 Hida-syunkei Hida Shunkei Lacquer Ware

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 飛騨春慶(ひだしゅんけい)は、岐阜県高山市、飛騨市に伝わる伝統工芸品である。
 慶長一一(1606)年、高山城下で神社・仏閣の造営にあたった大工の棟梁・高橋喜左衛門が、たまたま打ち割ったさわらの柾目(まさめ)を発見した。
 そこから美しい枇目(へぎめ)の盆が塗り上げられ、色調が茶器の名品で加藤景正の飛春慶に似ているところから、春慶塗と名付けられたと伝えられる。
 透明で木肌の持つ美しさをそのまま活かすところに特徴があり、軽やかな風合いと気品の高さが好まれ、光を当てると透明の漆を通して木目が黄金色の光を放ち、使用するにつれてその光沢が増していく。
 飛騨春慶は、線と円とで立体的な美しさを表現する、優雅で繊細な伝統工芸品である。
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2007/9/4


練上手 Neriagede Neriagede

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 練上手(ねりあげで)は、色や濃淡の異なる複数の陶土を幾重にも重ねたり、練り上げたりして、様々な文様を表現する、芸術的にも価値の高い陶工技法の一つだ。
 その製作技法は、あえて表現するならば、お菓子のバウムクーヘンを作っているような感じといえなくもない。
 幾重もの地道な重ねや練り上げが、まるで大理石のような縞模様や美しい木目の表面を生み出す。
 とはいえ、性質の異なる複数の土を用いるため、その製作過程や焼成時に、高度な技術や経験が要求される至高の品でもある。
 その始まりは七世紀ごろの中国といわれており、当時は絞胎(こうたい)という名で呼ばれていた。
 その後、安土桃山時代前後に日本に伝来したといわれ、同時代の作例が今も残されている。
 近年では、陶土そのものに色を付ける技法も編み出され、より複雑で芸術性に富んだものも生み出されるようになった。
 古来からの幾重にも積み重なった技法に、今も新しい層を重ね上げて、発展を続けている。
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2007/7/27


仙台箪笥 Sendai-tansu Sendai Chests

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 仙台箪笥(せんだいたんす)は、安土桃山時代に伊達藩の棟梁により創案されたものといわれる、重厚な中に日本独特な美を感じさせる工芸品である。
 欅(けやき)や栗の木を主な材料として用い、表面は透明で下の木目が美しく見える木地呂塗り技法で仕上げられ、最終的には龍や唐獅子、牡丹や唐草などの精緻な文様が打ち出された鉄金具を取り付けて完成となる。
 この、鉄金具が仙台箪笥の特徴であり、どっしりとした重みのある箪笥を優雅で趣のある印象に仕立て上げてくれる。
 一つの箪笥におおよそ70から80個の金具が取り付けられ、本来は太刀や袴などを折りたたむことなく収納できるよう考案された男物の箪笥に、優雅さと気品を与え、男女を問わず使用できる逸品に変貌させてくれている。
 その後も技術の切磋琢磨は続き、今日では従来の意匠を継承しつつ、現代のライフスタイルにも合う箪笥が作り続けられている。
 五百年の時を経てなお、変化を続ける工芸品は、今も人々の生活を彩っている。
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2007/7/25


中川清司(人間国宝) Nakagawa Kiyotsugu(NingenKokuhou) 

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 中川清司(なかがわきよつぐ)は、昭和十七(1942)年、京都府生まれの木工芸師である。
 十九歳の頃より、父で京指物師であった中川亀一氏に師事、技術を磨く。
 昭和四八(1973)年には「柾合わせ」(まさあわせ)という、柾目を合わせる技法による作品を創作し、日本工芸会近畿支部展にて「日本工芸会賞」を受賞することとなる。
 翌年には同じく木工芸師であり父の知人であった竹内碧外氏に師事し、指物や桶指物、長方形や三角形等の部材を貼り合わせる木画、そして柾合わせなど、幅広く高度な木工技法を体得。それら生かし、軟木の良材を用い、組合わせた木目がその表面を「幾何学的な文様」で彩る美しい制作物を多く発表、高い評価を得る中、平成十三(2001)年に「木工芸」の重要無形文化財保持者(人間国宝)に認定された。
 飽くなき探求によって裏打ちされたその技術力の高さは、人間国宝となった今も休みなく生み出される素晴らしい作品によって、証明され続けている。
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