NIPPON Kichi - 日本吉

記事数29件: 1~8 件表示     >>     >|  

2008/7/7


平家納経 Heike-noukyou 

Jp

 厳島神社(いつくしまじんじゃ)に伝来する装飾経(そうしょくきょう)。装飾経とは、仏教で使用される経典の中でも料紙に美麗な装飾を施したものを指す。
 この『平家納経』(へいけのうきょう)は、長寛二(1164)年、平清盛が平家の繁栄を願って厳島に奉納したといわれる三十二巻におよぶ経文で、制作には一門の一人ひとりがあたった。法華経二八巻に法華経の開経、結経の無量義経・観普賢経、さらに阿弥陀仏と般若心経を加え、願文を添えた三三巻から成る。
 各経文とも、表紙や見返し、本文の料紙の細部に至るまで煌びやかな装飾や王朝の優雅さを示す絵画で飾られ、「金銀荘雲竜文銅製経箱」と呼ばれる基台に乗せられた経箱に納められている。これには一門の総帥である平清盛のもつ飛び抜けた美的センス、独特な感性が大いに反映されており、まさに平安末期を代表する美術工芸品といえる。
 当時の平家の栄華を今に伝える美の傑作として、現在は国宝となっている。
[+ADDRESS] この記事をお気に入りに、追加します



2008/3/17


【誠】 Sei Sincerity

Jp En

 この字は甲骨文や金文にはみられず、篆文から現れます。右と左の部分に分けられるのは確かですが、ただそのためにA+Bという数学的な感覚の解釈に乗り出すのは勇み足です。意味について白川静先生は「誓約を成就する意である」とまとめています。
 「言(ことば)」が「成る(成就・実現する)」という表面的解釈よりもっと、古代中国の社会の在り方に目を向ける必要があります。白川文字学によると「信」の説にあったように「言」の下の部分の「口」は、祝詞を入れる器の意味です。常用字体からはわかりにくいのですが、その上の四本の横線は、刺青を入れるための道具で、取っ手の付いている針の形です。この「言」の部分だけでも神への誓いのことばという意味があります。
 また「成」は戈・矛(ほこ)を作り上げた後、飾りをつけて完成の儀式を行う形です。つまり、この字の左右の部分は宗教的な由来にもとづくものと考えられます。
 
■ 誠・篆文(てんぶん)
[+ADDRESS] この記事をお気に入りに、追加します




【無】 Mu Nothing, Nothingness

Jp En

 「無」は「舞」の初文(初めの字形)です。伝統的な「六書(りくしょ)」の分類に従いますと、「無」は文字の音を借りる仮借文字です。ただ、「六書」という分類方法は、漢字成立から千年後の当時の漢字を分析するためにつくられたものなので、それに基づいて漢字が発明されたという結論を導くことは誤解になりかねません。
 当たり前のことですが、基本的に漢字は象形文字なので「何もない」という意味を表すのは本来とてもできないことです。時代が下り人々の考えや思想の抽象化に仮借文字はとても役立ちました。仮借文字は自然にできたのではなく、約束や慣例の中から意味を与えられた文字のグループです。
 「無」が「舞」の初文であるという関係は甲骨文で分かります。実は人が踊り、袖に飾りがぶら下がっている形です。『論語・顔淵、第十二』には「… 遊於舞雩之下。」「… 舞雩の下に遊ぶ。」がみられます。「雩(う)」は雨乞いのための祭祀儀式の踊りや、神樂を舞う場所です。「無・ない」の意味は「雨がない」から生じたのではないかとも思われます。そういう風に理解しますと、仮借文字という後世の概念に頼る必要もなくなります。
 どちらにしましても、「無」が「家が火災に遭うことを写しているところから『何もない』という意味になる」という説明は当たりません。

 
■ 無・甲骨文(こうこつぶん)
[+ADDRESS] この記事をお気に入りに、追加します



2008/3/10


饅頭根付 Manjuu-netsuke 

Jp

 饅頭根付(まんじゅうねつけ)とは、根付のうち、平べったい饅頭の形をしたものをいう。ほとんどが象牙製か木製で、しばしば浮き彫りや漆、象嵌(ぞうがん)といった装飾が施されている。
 根付は、江戸時代にお金を入れるための巾着(きんちゃく)や煙草入れ、矢立て、印籠(いんろう)などの提げ物(さげもの)が帯から落ちないよう、紐で留めるために用いた留め具のこと。おおむね一九世紀半ばまでのものを古根付(こねつけ)、それ以降のものを現代根付(げんだいねつけ)と呼んで区別している。
 江戸時代初期は実用性を重視した簡素なものが多く、時代と共に装飾性も重視されるようになり、江戸時代中期に入って爆発的に流行した。明治時代に入ると海外から高い評価を得て輸出が盛んになり、その後、一時衰退に向かうが、近年になって様々な分野から技術者や多種多様な素材が参入。再び注目されつつある。
 今日は、古根付・現代根付ともに日本独特の文化を伝える美術品として扱われ、特に海外での評価が高い。
[+ADDRESS] この記事をお気に入りに、追加します



2008/2/7


御簾 Misu 

Jp

 御簾(みす)とは部屋と部屋の間の柱と柱を水平につなぐ長押(なげし)に掛けて、仕切りや目隠しをする用具のことである。
 古代から用いられ、はじめは神域や神聖な場所との境のために使用されていたが、その後、貴族や身分の高い人の住居の仕切りや装飾用として広まっていった。
 御簾は真竹や女竹を細長く削り、色染めした後、赤糸でまとめ、帽額(もこう)と呼ばれる果紋(かのもん)を織り込んだ美しい布で縁を囲んだものである。巻き上げて束ねて留めておくことができるように、裏に鉤(こ)と呼ばれる鉤爪が付けられている。鉤は総角(あげまき)結びの飾り紐で固定するようになっている。
 竹の編む時は絹糸を使い、葵を形取って竹を編み上げる葵あみ、六角模様を形取って編み上げる亀甲あみや、二本一組のラインで竹を編み上げる八重あみなどがある。
 『源氏物語』では、登場人物の心の機微を表現するアイテムとしてよく登場する。
[+ADDRESS] この記事をお気に入りに、追加します



2007/11/22


漆芸 Shitsu-gei 

Jp

 漆芸(しつげい)とは、うるしを使用して作られた漆器や、それに装飾を加えたりした工芸品、及びその技術の事である。
 現在の漆の技法は中国から伝えられたとされるが、それ以前の、6000年も前の縄文遺跡から、漆を使った工芸品が出土している。
 漆技法は、主に4種類存在する。
 蒔絵(まきえ)は、蒔絵筆によって漆で模様を描き、その漆が乾かないうちに金粉や銀粉をまき、研ぎ出しや磨きを行う。
 沈金(ちんきん)は、沈金刀で漆の表面を線刻し、彫り跡に金箔や銀箔をすり込んで文様を作る。
 螺鈿(らでん)は、アワビや夜光貝の貝殻を薄く研磨した物を漆の表面にはめ込む。
 拭き漆(ふきうるし)は、顔料を加えていない漆を木地に塗ってはふき取る作業を何度も繰り返し、木目を鮮やかに見せる。
 漆芸は、日本独自の進化を遂げた伝統的工芸技術である。
[+ADDRESS] この記事をお気に入りに、追加します



2007/8/21


板山 春の山車祭り Itayama Haru-no-dashi-matsuri Spring Dashi (Float) Festival in Itayama

Jp En

 山車の町としても知られている半田市。毎年春になると市内十の地区において、それぞれの神社に奉納すべく山車祭りが勇壮に行われる。
 町の山車の総数は三一。どの山車にも名工による精巧な彫刻や装飾が贅沢に施されており、見る者の目を奪う。
 半田市の南西に位置する板山地区。ここでは、板山神社に本板山組本子車(ほんこしゃ)、大湯組花王車(かおうしゃ)、小板組旭車(あさひぐるま)の三台が、八幡神社に日役組神力車(しんりきしゃ)が曳き出される。
 伝統的な衣装に身を包んだ大勢の人々が、重量のある大きな山車を曳き回す様はまさに壮観である。
 山車の曳き回しの他、板山神社では獅子舞や巫女舞(みこまい)、三番叟(さんばそう)などが奉納される。特に獅子舞は板山獅子と呼ばれ、県の無形文化財にも指定されており、幕末から伝わる大変歴史の趣深い祭りである。
[+ADDRESS] この記事をお気に入りに、追加します



2007/8/7


弘前東照宮 Hirosaki-toushouguu 

Jp

 弘前東照宮(ひろさきとうしょうぐう)は、江戸時代初期に全国に作られた徳川家康を祀る東照宮の一つで、津軽藩二代藩主・津軽信枚(つがるのぶひら)が元和三(1617)年に日光東照宮に祀られている徳川家康を分霊。弘前城本丸に勧請し、寛永元(1624)年現在地に移した。
 他の地域にある東照宮と比べ早い時期に勧請できたのは、信枚の正室が家康の養女であり、親藩に準ずる家柄と認められたためであった。
 本殿は白木造りで、屋根の装飾である鬼板(おにいた)や屋根の両端部分を装飾する妻飾(つまかざり)、梁の上に置いた受け木である蟇股(かえるまた)には徳川家の家紋である葵紋が彫られている。
[+ADDRESS] この記事をお気に入りに、追加します



記事数29件: 1~8 件表示     >>     >|  
NIPPON Kichi - 日本吉 - 日本語に切り替える NIPPON Kichi - 日本吉 - to english

モノ・コト・ミル・ヒトで綴る
日本の美意識。

現在の記事 5444
カテゴリーズ
都道府県
キーワードシャッフル
お気に入り
キーワード検索
閲覧履歴



Linkclub NewsLetter