NIPPON Kichi - 日本吉

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2007/9/28


しな織り Shinaori 

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 新潟県との県境、山形県鶴岡市関川地区。ここに「しな織り」という日本三大古代織りの一つともいわれる、伝統工芸が受け継がれている。
 しな織りの原料となる糸はしなの樹皮の繊維である。樹齢一五年ほどのしなの木を伐採して樹皮を剥がし、乾燥させ、一〇時間ほどかけて煮る。柔らかくなった樹皮をさらに一枚の層になるように剥がし、余分な繊維を取り除く。糠の中に漬けて柔らかくした樹皮は、独特の柔らかい風合いが生まれるという。それを乾燥させ、細かく裂いたものを糸よりをして、ようやく長い糸が完成するという。
 こうして多くの工程と年月を経て完成させた糸を使って織り上げると、落ち着きのある風合いと柔らかい手触りが人気のしな織りが生まれる。
 しな織りは長く厳しい冬の間の、女性の生活の糧として古くから受け継がれてきた。素朴な温かさの中に、女性のたくましさと先人の知恵を感じることができる貴重な織物である。
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2007/9/14


細見華岳(人間国宝) Hosomi Kagaku 

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 大正一一(1922)年兵庫県生まれ。織物師。
 昭和一二(1937)年、十五歳の時に京都西陣の織物師、波多野諦観に師事。綴れなど、各種の織の技術を学ぶ。
 昭和二四(1949)年には独立、綴織工房を立ち上げる。その後は喜多川平朗や森口華弘に指導を受けながら、社団法人日本工芸会に所属し、綴や絽、紗、交織など様々な織技法作品を日本伝統工芸展を中心に発表していく。
 そうした活動の中、昭和三九(1964)年には日本伝統工芸染織展にて日本工芸会会長賞、昭和六十年には日本伝統工芸展で同賞に輝くなど、その匠の技術は高く評価され、平成九(1997)年に綴織の重要無形文化財保持者に認定、人間国宝となった。
 綴織は日本人の持つ指先の感覚が重視される技法だといわれる。
 氏の作品は、永年培われたそうした高度な製織技術の確かさの中に、現代的で気品に満ちた温雅な作風を感じられる逸品として、高く評価されている。
 匠の手により、今日もまた伝統が綴られていく。
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2007/9/7


首里の織物 Syuri-no-orimono The Shuri Textile

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 首里(しゅり)の織物は、約五百年に及んだ琉球王朝の首都であった現在の那覇市、首里を中心とした地域に伝わる織物である。
 中国や東南アジア諸国などの影響を受けながらも独自の発展を遂げ、歴史上、芸術上の価値も高く、地域的特色を色濃く残した沖縄を代表する織物である。
 染色には琉球藍を主体とした植物染料が用いられ、製織は地機および高機の投げ杼(なげひ)の手織りによって行われる。
 現在、首里花織、道屯織、花倉織、諸取切、手縞、煮綛芭蕉布、花織手巾の7種類の技法が伝えられている。
 高度な技術による優れた意匠の織物は、主に貴族や士族の衣服として愛用され、一つの地域に伝承される染織技法としては、多様性や洗練度において、他に類を見ない特徴を持つものでもある。
 琉球王朝時代においては、織手はほとんどが士族の妻やその娘達であり、彼女達の誇りある手仕事の一つであったという。
 今に伝えられ、織り上げられる逸品には、彼女達の誇りも一緒に織り込まれているに違いない。
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紬織 Tsumugi-ori Tsumugi Silk Textil

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 紬織(つむぎおり)は、真綿から紡ぎ出した糸を経緯に用い、手織りで織り上げられた織物である。
 屑繭などから真綿を作り、指先で糸にしたものを手紡ぎ糸あるいは紬糸といい、それらを用いることから紬織と呼ばれるようになった。
 手紡ぎ糸独特の微妙な凹凸から生まれる風合いや鈍い光沢が特徴で、また、非常に丈夫なことから、古くから日常衣料や野良着などの作業着として用いられていた。
 このため、例え絹であっても正装には用いられなかったが、江戸時代のいわゆる”粋”を愛した通人たちが、その色合いや絹なのに落ち着いた光沢を持つ風合いに渋さを見出し、さりげなく趣味の良さを主張できる粋な反物として、外出着やお洒落着に用い、人気を博した。
 非常に丈夫な分、織りたては生地が硬く、着心地が良くないため、裕福な商人は番頭などに着せて、やわらかくなったところで自分で着用したという逸話もある。
 織りたての硬いものを羽織って、落語よろしく粋がってみるのも良いかも知れない。
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羅 Ra 

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 羅(ら)は羅織とも言われ、隣り合う経糸が搦み合って、まるで編み物のような特色を示す綟り織(もじりおり)の一種であり、そうした綟り織の中でも最も古いものと考えられている。
 通常、織物では経糸は平行し、交わることはないが、羅では隣り合った経糸同士が交差する。そして更に隣の経糸とも交差し、網目状に広がっていく特色を持つ。その様が「編み物」と表現される由縁である。
 中国や南米ペルーに紀元前からあるもので、日本には奈良時代に中国から伝来したと見られ、飛鳥時代や奈良時代の遺品に、多種多様なものが今に伝えられている。
 平安時代には、貴族の象徴である烏帽子のほとんどがこの羅で織られたものであるほどだが、平安時代移行は次第に衰退し、江戸時代では最も単純な羅が織られはしていたものの、本格的な復活は昭和に入ってからである。
 夏の織物の王様ともいわれ、軽やかで張りのある生地が織りあがる羅は、二千年経った今も愛され続けている逸品である。
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2007/9/5


紅型 Bin-gata Bingata

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 紅型(びんがた)は、沖縄を代表する伝統的な染織技法の一つである。
 起源は十六世紀ごろとされており、当時の琉球王国では王族や貴族の衣装として染められていた。そのため、染屋は首里城の周りに置かれ篤く庇護されていたという。
 「紅」は色全般を示す言葉でとして、「型」は型絵染めの型紙を表す言葉として用いられ、型紙を使って様々な色で染め上げたもの全般を紅型と読んでいた。
 紅型には二つの手法があり、型染めは型を用いて文様を染めあげるもので、筒引きは文様を描くのに必要な糊を円柱状の筒にいれ、その先からところてんのように搾り出しながら文様を描く手法だ。
 これら細心の手作業により生み出される色合いは当時の王侯貴族たちを魅了して止まず、特にフクギと呼ばれる植物から取れる黄色は、王族のみ使用がゆるされるほどだった。
 現在では用途も広がり、着物のみならず帯や各種装飾品などにも活用されており、友禅に並ぶ日本の代表的な染物として、南国の情緒を楽しませてくれている。
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綴織 Tsuzure-ori Tsuzure-ori (Tapestry)

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 綴織(つづれおり)は、古くから世界中で行われてきた染織技法の一つである。
 歴史的にも芸術的にも価値の高いものとされており、最古のものは紀元前1580年頃にエジプトで織られたコプト織だといわれている。
 日本においては、仏教の伝来と共に伝わったといわれ、それらの遺品は法隆寺や正倉院の裂(きれ)に見ることが出来る。
 やがて、京都の仁和寺や本願寺などで綴織による装飾品などが織り始められ、その後も京都の西陣などでの帯の製織などにより、今に伝わっている。
 一般的には経糸(たていと)の下に実物大の下絵を置き、杼(ひ)に通した緯糸(よこいと)で、経糸を綴りわけながら文様を表していく。この際の経糸の綴りわけは、爪で一本一本をより分けていくという、非常に根気の要る手仕事となっている。
 「爪で織る錦」といわれる由縁であるが、そうした手作業により生み出される逸品は三千年前から人々を魅了して止まない美しさを今に伝えてくれている。
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2007/8/27


群馬 桐生織 Gunma Kiryuu-ori Kiryu Textiles

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 群馬の桐生織(きりゅうおり)は、群馬県桐生市に伝わる伝統的な織物である。
 800年頃、宮中に仕える白滝姫が桐生の山田家に嫁に来て、村人に養蚕や機織りを伝えたのが始まりと伝承されている。
 鎌倉時代末の新田義貞の旗揚げをはじめ、関ヶ原の合戦では、徳川家康が桐生の白絹の旗を用いた事などから、桐生織物はその名を全国的に高めることになった。
 18世紀中頃、京都から技術を導入して発展し、19世紀前半には幕府の保護もあって高級織物を生産するようになり、今日につながっている。
 西の西陣、東の桐生とも言われ、昭和初期までは日本の基幹産業として高級品織物を中心に、繁栄してきた。
 現在、和装離れから産業として苦境に立たされているが、先端科学技術の導入など、今も努力を怠らずに独自の新製品開発を続けている。
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