【独(獨)】 Doku, Hitori Alone
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本来の字は「獨」。「蜀」は牡の獣を表し、「虫」は昆虫ではなく牡の獣の性器をかたどっています。牡の獣はよく群れから離れるため、牡の獣が群れから離れて己の力で毅然と単独で行動する様子から「ひとり」という意味になりました。「獣」偏は、殷や周の時代より後の基本漢字が形成された篆文から加わりました。白川先生の著作によりますと、殷代より漢字圏には、「獣」偏の字を蔑視・差別の表現として他民族や他国に使った長い歴史があることがわかります。日本では、ドイツの統一国家ができる前、幕末の開国時にドイツ語を話す民族を表す文字として「ドク」という読みが本来合わないにもかかわらずその“発音”から「独逸」(略して獨・独)」という字を用いました。他に「度」や「都」といった他の同音の字が使われた記録もありますが、約150年経った今も残っています。しかし、国の名に対して獣偏の当て字は適当ではないかもしれません。白川先生はこれを「日本人の中華思想」と説明し、自分の字書の見出しに国名の使いみちを認めた言及もありません。
■独・篆文(てんぶん)
■独・篆文(てんぶん)
- 名前
- 監修:白川文字学研究者『常用字解』英訳 日本思想史・哲学史研究者 シュミッツ・クリストフ
- HP
- http://nippon-kichi.jp/article_list.do?p=5332